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食中毒事件数 第一位は「アニサキス」

2022/6/30
[ 消化器の病気 ]

三大食中毒といえば「アニサキス」「カンピロバクター」「ノロウイルス」、医療機関では日常的にみる感染症です。もちろん患者数統計では、ノロウイルスがダントツです。しかし刺身が大好きな日本人、冷凍ものは嫌、となれば、アニサキスにあたる人は運が悪いのか?

出典:平成30年の食中毒の発生状況

今月の症例より

70代の女性、夕食にアジの刺身を食べ、就寝前に胃が痛くなり、冷や汗をかくほどで、朝まで眠れなかった。朝一番で外来に受診されました。それまで胃の調子が悪いことは全くなく、突然の発症ですから、どうしてもアニサキスが否定できません。胃の調子の悪い方に「胃カメラ検査」はきついのですが、「どうしましょう」と相談したら、「是非してください」とのこと。

ねらい目は、胃のひだの腫れ、粘膜のむくみです、つまり急性胃炎を起こして炎症の強い部位を観察します。みごとにおりました。胃の粘膜に刺さったところには黒い出血点があり、白いひものような虫が動いていました。すばやく鉗子を挿入し、虫をしっかりと挟み込んで、ちぎれないようにゆっくり引き抜きます。アニサキスはくるっと丸まり抵抗しますが逃がしません。胃カメラごとひきぬいて、あとは生理食塩水を入れた小瓶のなかにドボン!持ち主にお返ししました。これで痛みが取れるはずです。めでたしめでたし。

あとでよく聞くと、スーパーで売っていたアジを丸ごと買ってきて(もちろん生簀からではありません)、自分でさばいて刺身にしたということでした。ご家族はなんでもなく、料理した本人だけが大当たりだったようです。では、どうすればよかったのか?

アニサキスによる食中毒の予防(厚生労働省)

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html

要するに、魚をさばくときには、新鮮なうちに、できればまだ息のある内に、すみやかに内臓を取りのぞくこと(寄生している魚が死んだら内臓から筋肉の部分に移動する)、さらに身をさばいたあと、アニサキスが残っていないか目でよく確認すること、でもそこまでするのなら刺身に加工したものを買ってきた方が良いかもしれません。スーパーのアジ売り場には、なにか注意書きがなかったのでしょうか?

アニサキス食中毒の発生状況と最近の発生事例
(引用元:東京顕微鏡院)

2020年10月から12月に発生した全国のアニサキス食中毒事例78件の内訳を見ると、原因食品はアジ・サンマの刺身や刺身盛り合せが多く、寿司、海鮮丼も原因となっている。シメサバによる事例は比較的多く、キンメダイのカルパッチョによる食中毒もある。

また、鮮魚店やスーパーで購入したサンマやサケの生魚を自宅で刺身にして食べて食中毒になった事例や、サバの切り身を購入しシメサバにして食べ発症した事例、「生」の表示がされたサケを購入し刺身にして食べ発症した事例もある。魚介類を販売する際、生のまま喫食できるものには、食品衛生法に基づき「生食用」、「刺身用」、「そのままお召し上がりになれます」等の表示が義務付けられている。購入し調理する際には、その容器包装や店頭での表示を確認することが必要である。

出典:東京顕微鏡院
https://www.kenko-kenbi.or.jp/science-center/foods/topics-foods/21011401.html

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