当院における「心房細動」65例のまとめ(2020.3.16現在)
65例中 男性50例、女性15例、8割近くが男性でした。70~80代がほとんどを占めていました。
65例中3例が脳塞栓に、出血4例は軽症
抗凝固薬のうち、ワーファリンは6例(9%)と少なく、 直接経口抗凝固薬(DOAC) が59例(91%)と圧倒的でした。DOACのなかでは、リクシアナが25例と最も多く、イグザレルト16例、エリキュース17例とほぼ同数、プラザキサは1例のみでした。出血などの有害事象は比較的少なく、鼻出血1例(イグザレルト+アスピリン)、大腸憩室出血1例(リクシアナ)、血尿1例(イグザレルト、リクシアナいずれでも)、原因不明の貧血1例(リクシアナ)の4例でした。治療中あるいは休止中の「脳塞栓」は3例であり、それぞれ後遺症を伴いましたので今後の教訓としなくてはなりません。詳細は以下のサイトをご覧ください。
https://www.niigata-min-sakaiwa.com/zakki/1602
「病診連携」65人中61人(94%)
わたし自身が非専門医ですし、当院には心エコーがありません。ですので診断時に可能な限り専門病院に紹介し、心エコーなどによる心機能・血栓の有無などの評価を受け、定期検査を継続してお願いするようにしています。その方が急変時の連携がうまくいくからです。24時間対応をしていただける「新潟医療センター」、在宅医療バックアップシステムを利用できる「信楽園病院」との連携が必然的に多くなります。他の病院は時間外の連携が難しいのです。
「介護保険利用」65人中14人(22%)
高齢者が多いことから介護保険認定状況を調べてみました。少なくとも14例(22%)の患者さんが介護を必要としている状況にあります。その中で認知症と診断されている方が9名おられました。心房細動が高齢者の病気であることから、併存疾患も多く、生活自立度も低いため、家族だけでなく多職種による支援が必要であると考えられます。つまり心臓だけを診ればよいのではなく、全人的に対応し地域全体で支えていかねばならない疾患であると思われました。