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冬期に100人以上が死亡 「ヒートショック」

2019/12/2
[ 高齢者の病気 ]

寒い冬、お風呂に入りゆっくり温まるのはほっとするひと時です。しかし、その入浴はリラックスできるだけでなく、想像以上に体への負担が大きいのです。 新潟市では、気温が低い時期に入浴事故が多発し、毎年、100人を超える市民が突然死しています(新潟市ホームページより抜粋)
https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/bohan/shobo/oshirase/
kyukyuinfo/oshirase/nyuyokucyuu.html

実は「ヒートショック」は医学用語ではありません。しかし最近よく耳にする用語ですから、「あ~、あのことだな」とみなさんおわかりだと思います。寒い季節になりますと、住宅内であっても、寒暖差のある場所に移動したときには血圧が激しく変動し、さまざまな健康上の危険性をともないます。とりわけ「入浴事故」においては命にかかわることが少なくありません。ところがこうした危険があまり知られていないことがわかり、専門家などで作る団体がヒートショックの要因となる住環境リスクを「暖差リスク」と命名し、啓発活動がひろがっていったようです。

わたしにも忘れられない患者さんがいます。80代の男性で、筋骨隆々、だれよりも健康そうで、町内会の仕事もこなし、ご近所の信頼を集めていました。いつものように一仕事を終え、老人憩いの家でくつろいでいました。熱い湯が大好きで、湯船にたっぷり浸かり、さすがに疲れて脱衣所にでたときは顔色が悪かったそうです。それでも「大丈夫、大丈夫」と繰り返していたのが、突然ドタッと倒れたということでした。実は彼にはいろいろな持病があり、抗血栓薬・抗凝固薬も服用していたのです。すぐ救急搬送されたそうですが、後日わたしが知ったのは新聞のお悔やみ欄でした。

入浴中に溺死した患者さんもおられました。いつになく長湯だなあと、家族が声をかけたけれど返事がない…… ドアを開けると浴槽に沈んでいたそうです。また独居の患者さんでこんなこともありました。新聞だったかヤクルトだったか、前日のままになっていることに気づいた配達人が呼んだけれど返事がない。玄関には鍵がかかっており、開いていた窓からのぞくと…… 患者さんはすでに冷たくなっていたそうです。

このように入浴中は汗をかき脱水状態に、さらに長時間の入浴で血管が拡張し血圧が下がります。最悪の場合、入浴中に意識を失ってしまうことがあります。また湯船から急に立ち上がると、脳貧血のため立ちくらみを起こします。そして寒い脱衣所にでたとき、反動で血圧が上昇します。脳卒中や心筋梗塞、不整脈を起こして突然死の原因となるのです。高血圧や糖尿病のある高齢者はとくに注意しなくてはいけません。

さて入浴事故を防ぐには

浴槽
  • 1 あらかじめ脱衣所や浴室は暖房器具等で暖めておく
  • 2 お湯の温度は、熱いと感じないぬるめのお湯で(目安は41℃以下)
  • 3 長い時間の入浴は避ける
  • 4 入浴の前後はコップ1杯の水分を摂る
  • 5 飲酒時や体調がすぐれない場合の入浴は控える
  • 6 高齢者が入浴している時、家族や周囲の人がこまめに様子を見に行き声をかける
    (新潟市ホームページより抜粋)

    また新潟市ホームページにある「ヒートショックまんがリーフレット」は秀逸です。是非ご覧ください!
    https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/bohan/shobo/oshirase
    /kyukyuinfo/oshirase/nyuyokucyuu.files/heatshockleaflet.pdf
出典元:ヒートショックにご注意を!(新潟市ホームページより)
https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/bohan
/shobo/oshirase/kyukyuinfo/oshirase/nyuyokucyuu.html
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