2025年もよろしくお願いします
今年は能登半島地震に始まり、新潟市西区は液状化の被害に悩まされました。 液状化しやすい砂地盤である、砂が締め固まっていない、そしてこうした緩い砂の層が地下水に満たされているという「液状化の3条件」が西区にそろっていたのです。液状化の被害は新潟市全体で1万7千棟余り、石川県全体の2倍以上ということでした。その8割以上が西区に集中していました。
「西区地震アンケート調査市民の会」の立ち上げ
「さかいわ健康友の会」の会員のみなさんのお宅にも甚大な被害がありました。「もう、とても住める状態でない」と今もアパート暮らしをしている方、しかし引越ししたくても、修理をしたくても、金銭的な余裕がない。ほとんどの方は、どんなに体調を崩しても、傾いた自宅の中でがまんするしかない。
「地域住民の声を行政に届けよう」と、自治会のみなさんとの共同の取り組みが始まりました。被災者のみなさんを中心に、アンケート調査の事務局は健康友の会の服部さんが大奮闘してくれました。7~8月に7774世帯にアンケートを配布、2757世帯の方々から回答を頂き、行政に被災の実態を届けました。
わたしは坂井輪診療所に赴任してから20年になりますが、その後半の10年間は服部さんといっしょに仕事をしてきました。 地域にたくさんの健康づくりのための居場所、サークルを立ち上げ、また健康づくりボランティアを養成してきました。自分と家族の健康を守りたい、でもご近所も地域全体も健康でなければみんなが幸せになれないよねと、自治会と協働したとりくみが広がりました。
来年から、服部さんは「健康友の会:本部事務局長」となります。社会医療法人新潟勤労者医療協会の事業所は、東区・中央区・西区・秋葉区にありますが、それぞれに対応した「健康友の会支部」があります。西区での経験を活かし、4支部を統括する役割を担うこととなりました。ますますのご活躍を期待します。
坂井輪診療所はチームでがんばります
当院の職員は、医師・看護師・事務・健康友の会事務局で構成されます。当院を受診される患者さんには、医師だけでなく全職員で力になりたいと考えています。もちろん診療行為の最終責任は医師にありますが、日頃の療養上の悩みは看護師が、保険や福祉、生活上の相談事は事務職員が対応いたします。また当院だけで対応できない場合は、地域の専門病院、専門クリニックにご紹介いたします。
また健康友の会には、地域のお茶の間、健康サークルや趣味のサークル、ボランティア活動の場もあります。健康の悩み、健康以外のなんでも相談会も行っています。保健学校といって、健康にかかわる知識や技術を勉強することもできます。通院困難な方には送迎サービスを行っています。
集合写真は、12月30日午前外来終了時に撮ったものです。仕事納めの日が遅すぎる(公務員は27日)とお叱りを受けることもありますが、新潟市急患診療センターが日中開業するのは31日からなのです。この日の午前外来は少なく30名ほど、でも高熱で苦しむインフルエンザや新型コロナの患者さん、中には肺炎になっている方もおられましたので、開けてて良かったと、不満を言う職員はいませんでした(笑)
地域包括ケアシステムが輝く地域に
2025年(昭和100年)には、戦後団塊の世代(第一次ベビーブーム)がそろって後期高齢者になります。高齢化率はすでに30%に近づき、団塊ジュニア(第二次ベビーブーム)が前期高齢者となる2040年には高齢化率は35%を超え、やがて2070年に39%に到達し、人口は9000万人を割り込みます(昭和30年が9000万人)。しかし人口構成は大違いです、当時の高齢化率はわずか5.3%でした。
「長寿社会」健康で長生きできることは素晴らしいことです。しかしそれをだれが支えるのか?これまでのように若い人が高齢者を支えるという考え方は成立しません。高齢者であっても、自分の体力と能力に応じた社会参加をすることが求められます。そのことは高齢者にとっても生きがいとなり、また若い世代にも安心してバトンタッチできる社会になっていくでしょう。
家族構成も多様化し、昭和の三世代同居は稀少となりました。家族介護を基軸にした介護保険制度は成立しなくなりました。希望しない介護離職はあってはならないことです。これから求められることは「血縁」→「結縁」へ向かうこと、地域の専門家の力を借りながら、地域にお困りの方がいれば地域の中で支えあう、高齢者であっても自分のできる範囲で支える側に、いずれは自分が支えられる側になるのですから。
わたし自身ひとりの高齢者として、職員といっしょに「健康づくりの専門家」として、ひきつづき「まちづくり」に力を注ぎたいと考えています。今年もよろしくお願いいたします。
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