90歳があたりまえの時代に 「平均寿命」と「死亡ピーク年齢」のおはなし
UNFPA(国連人口基金)による2022年版の世界人口白書によると、日本の平均寿命は男女とも世界一、香港をぬきました。ここ数年、香港とトップをあらそっています。
90歳以上があたりまえの時代に
2021年には、男 81.47歳 女 87.57歳と、新型コロナの影響で若干低下していますが、平均寿命は延び続けています。とくに女性の2人に1人が90歳まで生きることができる時代になった。あれ?それなら平均寿命も90歳以上じゃないの?実は「平均寿命」は0歳時点における「平均余命」なんです。
「 平均余命」とは、ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値のことであり、生命表で計算されています。 日本の生命表には、10万人が生まれたとき、ある年齢に達するまで何人生存し、その年齢の内に何人が死亡するかが計算され、掲載されているのです。 たとえば、75歳男性の平均余命は12.42年 女性では16.08年となります。
死亡ピーク年齢 男 74→85歳 女 86→92歳
2000年の死亡ピーク年齢は、男性で74歳でした。それが2021年には85歳と、11年も延びたんですね。女性でも同様に、86歳から92歳まで延びています。これで90歳以上の超高齢者がふえていることに納得がいきましたでしょうか?
診療所の外来にも、90歳以上の患者さんがおおぜい受診されます。もはや65歳から高齢者だなどといってられる時代ではありません。75歳を過ぎても、色つや良く、姿勢も良く、体格も立派な方が目立ちます。もちろん加齢とともに個人差が大きくなります。食欲がおち運動量が減り、やせて体力が落ちたという方もいます。最近よくいわれる「フレイル」(虚弱な状態)ですね。また脳卒中後遺症やパーキンソン病、心不全やCOPD、そして認知症などが始まり、家族介護や専門職のサポートが必要な方もおられます。
だからこそ、少しでも今の健康状態を維持して、自分のことが自分でできるようでありたい。病気や老化は避けられませんが、生活の中に楽しみを見つけ、その中で自分の大切にしていることがかなえられることを願っています。いつまでも住み慣れた地域で暮らしていけるように、地域の中で支え合うしくみをつくっていくことが重要だと思います。
高齢者の三大死因 ①老衰 ②心不全 ③誤嚥性肺炎
85歳までは「がん」で亡くなる人が最も多いのです。可能な限り、がん検診を受けましょう。がんを克服すると、全身の多臓器の機能低下のために生活の不自由が少しずつ現れます、やがて食事がうまくとれなくなると筋力が低下しますし、また飲み込みが悪くなると誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
だれにでも訪れる人生のゆうばえのときに向かって、家族や大切にしている人に、自分が大切にしている思いを伝えていただきたいと思います。そしてそれがかなえられるように、地域のみなさんの協力も得て、みんなで支え合いましょう。
コメント
九十歳でございます。
楽しく過ごさせて頂いています。
今年で九十歳を迎えました。
これまでの通りぼんやり過ごしてまいります。
最晩年を明るく楽しくすごしています。