坂井輪診療所

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おならのお話 ~おなかが張って困っている方へ

2022/12/4
[ 消化器の病気 ]

おならの元は「口から飲み込まれた空気」「消化液により発生するガス」「腸内細菌が発生するガス」をあわせたものですが、腸管ガスの大部分は口から飲み込んだ空気であり70~90%を占めます。早口で食べたり、おしゃべりをしながら食事をすると大量の空気(窒素)をいっしょに飲み込みます。食後にげっぷをすればほとんど出てしまいますが、げっぷをがまんすれば腸の中にガスが移動します。また胃液が膵液で中和されると二酸化炭素が発生しますが、ほとんどは腸管壁から吸収されます。ですから小腸へ移行するガスはごく少量です。http://www.mta.or.jp/contents/06member/2009/0904plaza.pdf

出典:おなかのガスはどこからくるの
https://www.seirogan.co.jp/bf/about/

腸内ガスは食物が腸内細菌によって分解されたときに発生する

腸管内に到達した炭水化物からは、善玉菌により水素やメタンが発生します。これらは無臭ですから、気にしないで放屁してください(所かまわずというわけにはいかないですが)。問題はたんぱく質や脂肪です、 悪玉菌によりアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、インドールなどの有害物質ができると、おならのにおいが強くなります。

出典:おならの原因
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/171161-1-05.pdf

おなかが張る原因 ①呑気症

時間をかけて無言で食べてるんだけど… という方がいます。あなたはストレスが溜まっていませんか?「呑気症」という病気があります。人は緊張すると唾液が出て、 つばを呑み込むことが多くなり、この時一緒に空気も呑み込んでいます。つばを1回呑み込むと15㎖の空気を一緒に呑み込むといわれ、100回余計に呑み込めば、1.5ℓの空気がおなかに入ることになります。おなかが張ることをあまり気にしないこと、遠慮しないでげっぷを出すと症状が軽くなります。https://www.taisho-kenko.com/column/37/

おなかが張る原因 ② SIBO(小腸内細菌増殖症)

小腸内には腸内細菌が少なく、通常ではガスが発生することはありません。しかし、①胃酸の減少 ②膵液、胆汁の減少 ③腸管運動機能低下 ④回盲弁機能低下による大腸からの逆流 などによって、小腸内に細菌が異常増殖することがあります。 また小麦粉の成分などが腸の粘膜を傷つけるリーキーガット症候群を併発している患者も一定数いるのではないかと言われています。
(なおSIBOに関する検査や治療は、現在のところ保険適用外です。当診療所では、この検査・治療は行っておりません)

おなかが張る原因 ③大腸の悪玉菌による異常発酵(腐敗)

赤ちゃんは生まれてくるときに、母親の産道にある腸内細菌に接触することで細菌をもらい受けます。これが赤ちゃんの腸内に入り込み、腸内細菌として増殖していきますが、腸内フローラの原型は3歳までにつくられるといわれています3)。日和見菌は強い方に味方しますから、是非善玉菌に勝ってもらわないといけません。しかし悪玉菌も全く不要なわけではなくて、腸管内のたんぱく質を分解してくれています。要はバランスなのですが、悪玉菌が増えすぎると大量のガスが腸管内に発生します。

出典:腸内細菌叢(腸内フローラ)とは
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonai-saikin.html

腸管内ガス対策

最後にガス対策です。①空気を飲み過ぎない、げっぷで出す ②腸管内ガスの異常発生を防ぐ ③たまったガスを上手に出す、ということになるでしょうか?

腸管を動かすということでは、まず第一に便秘の予防、日ごろの運動も大切です。しかしおなかの張りにはあまり効果がありません。「ひねり」体操と腸管押上げマッサージが有効だそうです。

出典:「ひねり」のある体操が有効です
https://www.taisho-kenko.com/column/37/

さて腸管ガスの発生を減らすためには、まず悪玉菌が増えないように、食生活、生活習慣やストレスに注意し、整腸剤なども有効です。善玉菌をやっつけてしまうような内服薬もありますからご注意ください。におわないガスであれば気にする必要はありません。

また低FODMAP食をとるとよいといわれています。しかし便秘など腸に良いといわれている食品がたくさん含まれているんですね。もともと低FODMAP食というのは「過敏性腸症候群」の方に有効と言われています。腸管の敏感な方は、わずかな刺激で腹痛がでたり、下痢、あるいは便秘をします。過剰なガスが原因となることもあるので、FODMAPを控え、徐々に食品を増やしていきながら、症状の変化を見るのがコツです。

FODMAPとは

  • F (fermentable) : 発酵性
  • O (Oligosaccharides) : オリゴ糖
  • D (Disaccharides) : 二糖類
  • M (Monosaccharides) : 単糖類
  • P (Polyols) : ポリオール(多価アルコール、糖アルコール)
出典:FODMAP食について
https://otsuji-naika.com/digestiveorgan.html

コメント

  • ふくちゃん より:

    記事大変興味深く読ませていただきました
    今年何度か左わき腹痛でお世話になりました
    素人ながら今回の記事の症状ではないかと思いました
    毎日寝る前に便秘改善の酸化マグネシューム薬を飲んでいるのですが、毎日便通はあるのですがすっきり感がなく、出切れていないように思います、そんなときにはお腹が張るなーと思っていると左わき腹痛がするようです。そういえばおならが良く出ている時は左わき腹痛はおきていないように思いますしすっきり感があります。70歳なので内臓も弱って来ているんでしょうね

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