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飲み過ぎていませんか?「断酒」はできなくても「減酒」から始めませんか?

2023/1/8
[ こころの病気 ]

お酒は美味しいですよね。わたしも、若い頃はよく二日酔いをしましたし、まわりにも迷惑をかけたことがあります。しかしさすがに歳をとりましたら、翌日頭がボーっとしたり、深夜に目が覚めて睡眠不足になるようになりました。みなさんには「飲み過ぎないように」と心配される始末なので、そろそろ酒量を減らしていこうと考えるようになりました。

断酒が必要な人が100万人、しかし治療を受けているのは5万人、アルコール依存症予備軍はなんと980万人

若い頃はいざしらず、今はアルコール依存症ではないよな、と自己診断しています。しかし適度な飲酒習慣ともいえないかもしれません。みなさんはいかがでしょうか?

出典:アルコール依存症者、多量飲酒者の推計
https://medical.jiji.com/topics/1308

まずはアルコール依存症スクリーニングテスト AUDIT

今のわたしの飲酒状況をチェックすると6点でした、セーフです(良かった~)でも若い頃を思い出しながらチェックしてみたら、なんと20点!こんな時期もあったんですね、いまさらながら片足を突っ込んでいたかもしれません。

出典:アルコール依存症スクリーニングテスト AUDIT
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/self_check/audit.html?fbclid=IwAR3rmMmwjxnM_ZjRE-l2A-Z0XMpb7CDkBibdH_ulZP0v9lW9pAq51lqhtao

AUDITで15点以上の方は要注意です。下の診断基準をご覧ください。過去1年以内に3項目該当すると「アルコール依存症」と診断されます。若い頃のわたしを思い出すと、2.5項目といったところかな?紙一重だったかもしれませんね。3項目以上該当する方は、精神も身体も依存状態になっています、自分一人の力で酒を減らすことは難しくなっているのです。

出典:那須こころの医院(アルコール依存症の基礎知識より)

とくに以下の項目に一つでも該当する方は「断酒」以外の選択肢はないとされています。確かにそう思えます。

出典:アルコール依存症の診断治療の手引き
https://www.j-arukanren.com/pdf/20190104_shin_al_yakubutsu_guide_tebiki.pdf

今すぐ「断酒」の決意ができなくても「減酒」に挑戦しませんか

でもどうでしょう? 一昔前には「節酒」など絶対に認められませんでした。一口飲んだらもう一口と、とことんまで飲んでしまうのが依存症だから、節酒などできるはずがない、一口も飲んだらお前はもうだめだと、お前はダメ人間だと、自分で認めろと、きつく叱られました。でもそれで断酒できた方は3割ほど、ほとんどの患者さんはまた飲んでしまう。断酒か死か、ではなく「減酒」が可能であれば、とりあえず挑戦してみる価値はないでしょうか?

お酒は「百薬の長」だが「万病のもと」でもある

適切な飲酒量は男性で1日20g(ビール500ml、日本酒1合、焼酎0.5合)です。グラフをみますと、男性で40gを超えると死亡率が上がってきます(女性では20g)。少し減らすだけでも健康に近づくことができます。まずはとことんまで飲むのはやめて、今日3合飲んでしまったら明日は1合にしようかとか、少しずつ減らしていくことが生活習慣病の予防になります。

まだ自分はアルコール依存症ではないと思っている方でも、予備軍かもしれません。生活習慣病をお持ちの方は、どうぞかかりつけの先生にご相談ください。重度の依存症に進んでからでは治療が難しくなります。また最近は精神科の先生方も大変親切に対応してくれます。酒にまつわる悩みをていねいに聞いてくれますし、いますぐやめられなくても、やめたい意志さえあれば、少しずつ酒量を減らせるような薬もつかえるようになりました。昔のシアナマイドのような、うっかり酒を飲んだらぶっ倒れてしまう薬ではありません。

出典: 市民のための お酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン
http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000646195.pdf

脳が幸せを感じるとき~4つの「幸せホルモン」のお話

生きていく中でストレスのない人生はありません。ストレスから逃れるためにアルコールに逃げれば脳の活動を低下させてボーっとして楽になった気がします、精神安定剤を飲んだ状態です。また覚せい剤はノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンを放出させ、脳全体を興奮させ、覚醒、多幸感を増強します。麻薬はドパミン神経系を活性化し、強力な陶酔感、多幸感を感じさせます。実はギャンブルやゲーム依存症もドパミン系を活性化します。

しかし薬物や行為の依存によって刹那的に幸せになれても、現実から逃れて生きていくことはできません。依存は脳を破壊し、人生を破壊します。家族や友人を悲しませ、やがてみんな離れていくでしょう。ストレスのない人生はありません。家族や友人の力を借りて、ときには専門家の力を借りて、小さな階段をひとつずつ上っていきましょう。その先に、あなただけの幸せがあるはずです。

出典:4つの「幸せホルモン」とは? 出し方&効果を脳科学的に説明する
https://studyhacker.net/happy-hormones

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